韓国人の日本イメージ

強い民族的アイデンティティをもち、血族の結束を大事にする朝鮮民族が、なぜ血で血を洗うような戦争をしなければならなかったのか。一九五〇年六月二五日未明、北朝鮮軍が第二次世界大戦後、アメリカとソ連によって境界線とされていた三十八度線を南下したことによって、朝鮮戦争が勃発した。一九五三年七月二七日、やっと休戦が合意されたときには、北は鴨緑江から南は洛東江まで朝鮮半島全土で戦争が展開されたため、国土は荒れ、産業は崩壊し、人々は南北合わせてこ一六万人が死亡した。


一九五三年の休戦協定以前には、朝鮮半島に民族的な断絶や違いはなく、南北の分断は冷戦下のアメリカとソ連の対立による人為的なものであったといえる。分断が固定化するまでには、三つの段階があった。第一に、一九四五年の日本の敗戦によって、米ソが朝鮮半島を分割して占領したこと、第二に、一九四八年八月一五日大韓民国、同年九月九日に朝鮮民主主義人民共和国が成立したこと、そして第三に、朝鮮戦争である。


朝鮮戦争の休戦協定によって三十八度線で分断されることになった朝鮮半島は、以後、異なる政治体制をもつ国家として、それぞれの道を歩むことになってしまったのである。その後、南北の間では、統一への試みとして、南北経済会談、南北赤十字会談、離散家族の相互訪問などといった交流がおこなわれてきた。現在、北朝鮮は経済状況が悪化し、餓死者を大量に出し、多くの人が飢えに苦しんでいる。


韓国も、一九九八年の経済危機による傷痕はまだ回復していない。南北がこのような状況下で、統一はいつ、どのような形でおこなわれるのだろうか。韓国と北朝鮮が現在の体制を維持する連邦制をとるのか、北朝鮮の体制が崩壊し、韓国が吸収することになるのか、アメリカ、ロシア、日本、中国、そして当事者である韓国、北朝鮮が各国の思惑や利益を推しはかりつつ、統一の方法と時期について議論し模索している。そんななか、二〇〇〇年六月十三日には、分断以来五五年ぶりに南北会談が実現し、和平に向けた歩み寄りがみられた。


韓国人に「日本がまた侵略してくると思うか」と質問をすると、大半の人が「そう思う」と答える。日本人にとっては「そんなことはできっこない」と思うことでも、彼らの日本に対する狭疑心はなかなか消えない。一九九九年十月の朝日新聞東亜日報社の共同世論調査朝日新聞一九九九年十月一五日付)によると、日本が好きか、という問いに対して、「好き」一〇パーセント、「嫌い」四三パーセント、「どちらでもない」四八パーセント、となっている。そのなかでも、五十代以上の人で「嫌い」と答えたのが五六パーセントなのに対して、二十代では二九パーセントしかいなかったという。前回の一九九六年十一月の調査では、「好き」八パーセント、「嫌い」六五パーセント、「どちらでもない」二七パーセントであり、「嫌い」と答える人が大きく減少している。